家から出て握手したら負けだと思ってる

完全在宅アイドルファンによるブログです

今年のAKB48選抜総選挙は退屈なセレモニーだった

6・18 HARD OFF ECOスタジアム新潟で行われたAKB48 45thシングル選抜総選挙は、指原莉乃による史上初の二連覇で幕を閉じた。獲得票数は20万越え。

現地に行ったファンのみなさん、メンバーのみなさん、本当にお疲れさまでした。

ぼくはといえば、BSスカパーでコンサートを見て、そのあとはフジテレビで中継を見て、11時からはテレビ朝日で延長戦を見ました。

(その合間にEUROを見ており、テレビ漬けの一日でした)。

 

それでですね。

まずなによりも、ぼくは謝らないといけない。

というのも、先日こんな記事を書きました。

at-home.hatenablog.jp

 この中で、「フジテレビには期待してない」と吐きすてるような書き方をしてしまいました。本当にごめんなさい。

今年に限っていえば、フジテレビの中継はほぼ完ぺきでした。

余計な煽りVTRはなく、スタジオゲストの無駄なコメントも排除。メンバーのスピーチがCMでブツ切りになることも、反対に、CM待ちで必要以上にしゃべらせることもなかった。できるだけ現地からの映像を主体にし、スタジオはワイプやCM明けの一瞬に映すだけという徹底ぶり。このおかげで、純粋なAKBファンのためのイベント中継になっていましたね。

じゃあ初めからスタジオゲストなんていらなくね?という疑問はあるけども……。

(なお、テレビ朝日の延長戦に関しては、ほれ見たことか!といいたくなるくらいひどい番組だったので謝るつもりはない。特に、乃木坂46を出演させたのはひどすぎる。ライバル設定なんて、もう誰も覚えてねえよ)。

 

閑話休題。

ここからが本題なんですが、これほど理想的な中継だったにもかかわらず、今年の総選挙ってなんだかつまらなかったと思うのはぼくだけでしょうか?

エンターテインメントとしての魅力、もっと露骨な表現をすれば、見世物としてのおもしろさという点では、去年の未熟な中継に圧倒的な軍配が上がると思うのです。

これはなぜなのか。

ひとことで言えば、選挙結果も中継も、あまりにも波風が立たないものだったからだと思う。

たとえば、去年の選挙を思い出してほしい。

速報でランクインしていた込山榛香が、圏外を悟ったときの天を仰いだあの表情。すべてを諦めたような顔をしていましたね。絶望とはかくやと思わされました。不謹慎ないいかたを承知でいえば、あのときのこみはるは美しかった。あるいは、第5回、第6回と選抜入りしていた須田亜香里が、18位を告げられたときのスピーチの動揺っぷり。そして、記念撮影での、ふてくされたようにこちらをにらみつけるあの目。

去年の総選挙には、極限状態に追いこまれた人間が見せる、むき出しのリアルがあったわけです。

これを盛りあげたのがフジテレビによるずさんな中継だった。明らかに時間伸ばしを指示したと思われる、武藤十夢のとりとめもなく続くスピーチ。途中で打ち切ってCMに行くべきなのに、だらだらとしゃべり続ける横山由依。かと思えば、肝心の山本彩のスピーチは、途中でCMに行く始末。

限界ぎりぎりの精神状態に置かれたメンバーが生み出す、演出できないハプニング要素が放送スタッフにも伝播し、ついには中継そのものが崩壊寸前にまで陥るという、これぞ生放送ならではというものを見せてもらえたわけです。

 

翻って今年の総選挙はどうだったか。

込山はめでたく念願のランクイン。武藤は明るくさっぱり簡潔に感謝の気持ちを述べ、横山は多少の問題はありながらも時間どおりに収め、須田は適度な自虐を交えて去年の自分を振りかえる。それぞれが事前に与えられていたであろうスピーチ時間を可能な限り順守し、番組スタッフ側も無遠慮にスピーチを切ることもなかった。最終盤になって若干の時間あまりをしてしまったらしいが、番組構成として大きくバランスを欠くようなことはなかった。

でもなぁ、これじゃあタイトルに書いたとおり、あらかじめ知らされた式次第どおりに進むセレモニーじゃん。だって、事前の煽りどおり、1位争いは指原とまゆゆによる一騎打ちという展開。世代交代というアングルも向井地や高橋朱里や岡田奈々といった次世代メンバーも選抜入りしたおかげで、ある程度満たされた。去年の雪辱を果たすべく、こみはるのファンも須田のファンもがんばって、無事ふたりはランクイン。小嶋陽菜はスポーツ新聞の記事のとおり、本当に卒業発表をしてしまった。

めでたしめでたし。

想像の範疇を一歩も越えることのない結末だ。

強いて言えば、宮脇咲良の6位と兒玉遥9位という結果は、咲良の下剋上叶わずという物語の始まりと、宮脇&兒玉のライバル関係の新たな展開を予感させるものだった。

また、岡田奈々の病気の告白と「こんなこと言ったら、みんなに嫌われちゃうんじゃないかと不安だった」という発言や、みーおんの「AKBのことを考えている間だけは幸せだった」というスピーチは、本当に心の奥から出た言葉として、胸を打つものがあった。

「なぁちゃんとみーおんは、何があってもおれが守る!」と誓った夜だ。

でも、総選挙の盛り上がりポイントがこれってやっぱりさみしい。

「ぱるるは今年こそ徳光さんの質問に答えるのか?」って、どこをフォーカスしてんだよフジテレビ! 

 

渡辺麻友までも、「AKB48はピンチです」といった。

ピンチの原因は明らかだ。

そもそもAKB48というグループは、怪しいビラ一枚によって集められたアキバのパンツ見せ集団という、イカガワシイ存在なのだ。CDを売るためなら握手会参加権をおまけにつけるというなりふりかまわない態度。派生ユニットや姉妹ユニットではなく、フランチャイズという形で姉妹グループを作るという産業体制。センターの決定に不満を持つファンに対して「そんなに文句いうんだったら、誰が一番人気あるか決めようぜ」と始まった選抜総選挙。「総選挙が人気投票で不利だっていうなら、じゃんけんで勝ったやつがセンターだ」として始まったじゃんけん大会。

AKBがここまでの人気を得たのは、売らんかな精神あるいは見世物精神を隠すことなく発揮してきたからだ。まっとうな音楽性やビジュアルではなく、良い意味でのイカガワシサやアヤシサを発揮し、見るものの下世話な気持ちを刺激してきたからだ。

それがいま、急速に予定調和化してきている。

AKB48はたしかにピンチだ。

だからこそ、予定調和をぶち破る、未知の逸材が求められている。

それは長州力のいうように、峯岸がふたたび坊主頭にすることかもしれない。次世代メンとの本格的な世代交代なのかもしれない。チーム8の躍進なのかもしれない。乃木坂46との真のライバル関係なのかもしれない。

あるいは、SNH48の分裂から始まる両運営による団体抗争なのかもしれない。

AKB48の第一章は、前田敦子と大島優子という二人の役者が彩った。

第二章の主人公が誰にせよ、第一章の焼き直しでは通用しない。

新しい人よ眼ざめよ!