家から出て握手したら負けだと思ってる

完全在宅アイドルファンによるブログです

『情熱大陸 AKB48総監督・横山由依』は、はんなりしすぎて刺激不足

『ザ・ノンフィクション』について書きました。

at-home.hatenablog.jp

 

今回は『情熱大陸』を見た感想です。

結論からいえば、やや期待外れでした。

ドキュメンタリーといってもいろいろあるが、芸能人やスポーツ選手を題材とした場合、たいていはパターンが決まっている。つまり、難しい課題に挑戦しそれを乗りこえる(あるいは失敗しても得るものはあった)過程を見せるというパターンです。スポーツ選手であれば大きな大会であったり、リハビリであったり。芸能人であれば、主演の舞台であったり、新曲のレコーディングであったり。とにかく、課題に挑戦する姿を描く。クライマックスは努力が実って壁を乗り越えた、あるいは壁を乗り越えることはできなかったものの、まだまだ努力をし続けるというもの。これが黄金律でしょう。

 

では、今回の横山由依は何に挑んだのか?

ぼくの注意不足かもしれませんが、何にも挑戦してないように見えました。

もちろん、彼女が高橋みなみの幻影に苦しんでいるのもわかります。グループ全体を任されるプレッシャーに苦闘しているのもわかります。昔の友人との会話や、握手会での人気のなさを嘆くシーンを通して、苦悩する横山を描こうとしているんだろうなと推測できます。

でも、越えるべき障害が明白に描かれることはなかった。

ぼくはてっきり、横山由依によって総選挙前のコンサートは成功したのだというストーリーになるのかなと思っていました。しかし、そういう描き方ではなかった。第一、それは嘘になる。なので、嘘をつかなかったスタッフは偉い。だとしても、JKTへのゲスト出演が番組のクライマックスってのはどうなんだろうか。ちょっとピント外れというか、イマイチ盛りあがりのない展開になっていたように思う。

いったい視聴者は、この番組をどのようにして見ればいいのか。

この内容じゃ、「横山由依って子は、慣れないながらもがんばってるんだなぁ」以外の感想を持ちようがないでしょ。

もちろんAKBに無関心な視聴者にとってはそれでいいのかもしれないけれど、ここはもう一歩踏み込んで、本来はリーダー気質ではない横山由依という少女が、総監督という重責を必死に担い、それによって、彼女自身があるいはAKBというグループが何かを手に入れたというストーリーを描いてほしかった。

 

ただですね、実は『情熱大陸』という番組は、以前からちょっと怪しく思っていました。はっきりいって、この番組、ドキュメンタリーというには内容が薄っぺらい。30分という放送時間が短いのはわかるけど、それにしても、ほんのちょっと薄皮を撫でる程度しか対象に迫っていない気がする。

この差は、たとえば『AKB裏ストーリー』や『プロ野球戦力外通告』と比べれば明らかだ。どっちもTBS系列なのに、見ごたえが全然違う。もちろん放送時間の違いも大きいけど、『情熱大陸』が対象者の紹介にとどまっているのに対し、後者のふたつは対象者の内側まで分け入っていく。

で、どっちがおもしろいかといえば、断然後者。

『AKB裏ストーリー』で込山榛香を扱った回では、いちごちゃんず公演と選抜入りというふたつの課題に挑む込山を描き、見事両者を達成する場面をクライマックスに置き、なおかつ、同期がシングル曲のセンターに入り自分は選抜に入らなかったという新たな壁が生まれた場面で終わった。

これはねえ、残酷だけど、やっぱり見ていておもしろいんですよ。

 

と、ここまで文句ばかりだが、お昼の『ザ・ノンフィクション』がかなりヒリヒリするようなドキュメンタリーだったせいで、知らずしらずのうちに『情熱大陸』のハードルも上がっていたのかもしれない。

そもそも『情熱大陸』ってこんなもんだよなぁと思えば、これはこれで「ゆいはん紹介動画」としてはよかったのかも。

いくつか「おっ!」と思ったポイントもあった。

たとえば、

①「なんか耳だけ傾けてもらってていいですか?」といった横山に、うなずきながら「はい」と答える岡田奈々。さすが、信頼できる女である。

②ゆいはんのファッション遍歴。

2015年には、ボーダーのスカートにデニムジャケットという安定のダサさだったのに、2016年のジャカルタでは、とろみ感のあるスカートにシャツという次元までレベルアップしている。

③ゆいはんのお父さんの、ベテラン落語家のような絶妙の声音と口調。

④総選挙のシーンで映った、宮里莉羅の尋常じゃないカワイさ。緊張をほぐすために膝を屈伸するところが小動物みたい。

⑤ジムでトレーニングするゆいはん。ルームランナーのあの速さは、たぶん1kmを6分のペースだと思う。女性でこのぺースはかなりすごい。あのジムのシーンは、アイドルという職業の凄みを映していてよかった。

 

あらためて考えると、そもそも横山由依が激烈なドラマじゃなくて日常が似合うアイドルなのだとすれば、これはこれで、ゆいはんらしいのか?

起承転結のある物語ではなく、総監督としての日々をはんなり描いたのだとすれば納得できるかも。

だとしても、横山由依という人間のトボけた魅力を映した『京都いろどり日記』のがおもしろいけどね。

なんにせよ、こうして見れただけでありがたいです。

どうか、次回もよろしく。