「渋谷からPARCOが消えた日」の歌い出しにシビレた
平手友梨奈のソロ曲「渋谷からPARCOが消えた日」のMVを見ました。
欅坂46の2ndシングル『世界には愛しかない』TypeAに収録されています。
ギターのイントロが鳴り響くなか、真っ暗なスタジオの、階段の上に立つ平手友梨奈。スポットライトに照らされているが、逆光のせいで顔が見えない。両手でマイクを握って軽くお辞儀をし、歌い出す……。
この一連の流れ、溜息が出るほどすばらしい。
「何を聞かれても~」と、やけっぱちになったように歌い、太ももに右手を当てながら階段を下りてくる平手友梨奈のかっこよさったら。
「レジスタンス」と吐きすててこちらを見たときの、誰も信用していないような瞳。
たまらんですね。
いったい、赤い細身のスーツにブーツというモッズスタイルを、これほどかっこよく着こなせる女子中学生がほかにいるだろうか。
渋谷を舞台に、性的な匂いをまとった曲といえば、AKB48の「制服が邪魔をする」がある。これは歌詞だけ聞けば奥手なボーイフレンドの本音を聴きだそうとする歌なんだけど、その一方で、MVを見ると、どことなく援助交際をしようとする女子高生のイメージも想像できて、ぼくはかなり好きな歌だ。
で、同じく"大人たちの視線を意識する少女"というものを歌った「渋谷からPARCOが消えた日」の平手は、AKB48とは全然タイプが違う。
「制服が邪魔をする」のAKBメンバーが着崩した制服にミニスカートという今どきの女の子だとすれば、この平手は、ただならぬ昭和感をまとっている。
自分のことを「あたい」といいそうな雰囲気だ。
ギャルではなく、不良少女と呼びたい。
『FNSうたの夏まつり』で、欅坂46が山口百恵の「ひと夏の経験」をカバーしたのを見たときも思ったけど、平手友梨奈は、陰のある曲の、特に出だし部分を艶っぽく歌うのが非常にうまい。
特に「渋谷からPARCOが消えた日」の冒頭部分、「何を」の歌い方は完璧。
この三文字を聴いた瞬間、体に電流が走ったようにゾクゾクする。
たぶん、これをライブや歌番組で完璧に再現することは不可能だ。しかし、CDになったおかげで何度でも味わえる。よくぞ音源として残してくれた。サビのPARCO乱れ打ちの是非はともかく、この出だしだけで名曲まちがいなし。
シビレます。