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家から出て握手したら負けだと思ってる

完全在宅アイドルファンによるブログです

CROW'S BLOOD 不気味と恐怖の入り混じった傑作の予感

AKB48 ドラマ HKT48 NGT48

ドラマ『CROW'S BLOOD』の第一話を見ました。

www.youtube.com

HKT48の宮脇咲良とAKB48の渡辺麻友がW主演を務め、制作総指揮に大ヒットサスペンス映画『SAW』シリーズのダーレン・リン・パウズマンを向かえた、Huluオリジナルコンテンツです。
HuluとAKB48といえば、すぐに思い出すのが『マジすか学園5』。
ヤンキー同士の争いが、いつしかヤクザやマフィアも巻き込んだ抗争に発展し、AKBグループの人気メンバーが拳銃やダイナマイトによって次々死んでいくという、テレビ版とは違ったシリアス路線で話題になった一作だ。
 
ただ、いまから振り返れば、『マジすか学園5』は平和でしたね。
どれだけ内容をハードにしたところで、悲しいかな、『マジすか学園5』はAKBファンのためのノベルティ・グッズの枠を出ることはなかった。
メンバーが死ぬといっても散り際は華やかなもの。当たり前だけど、残虐描写なんてない。本格ドラマは本格ドラマでも、"アイドルであるAKB48による"という留保つきの作品だった。
 
その点、『CROW'S BLOOD』は違う。
主要キャストはAKBグループのメンバーだが、これはファンを喜ばせるための内輪向け作品ではない。正真正銘のサスペンス・ホラーである。
 
以下、作品の内容に言及しておりますのでご注意下さい

 

CROW'S BLOOD感想

あらすじ 

物語は、生命倫理についての講演会から始まる。
別所哲也とよく知らん外国人の演じるふたりの医師が、医療における倫理のあり方をめぐって議論を交わす。人の定義とはなにか、人を構成する要素を少しずつ変えたとして、それは元の人間と同じといえるのかといった今日的な問題がテーマになっている。
一方、ドラマの主な舞台となる国際ドリー女学園に、ひとりの転校生がやってくる。宮脇咲良演じる、戸川真希である。真っ黒な涙袋、うつろな瞳、要領を得ない会話、見るからにただ事ではない様子に、教室中が騒然となる。
自己紹介を終えた真希は、席に着くや、ゆっくりと窓の外へ視線を移す。渡辺麻友演じる磯崎薫が真希の視線に気づき顔を動かした瞬間、一羽のカラスが音を立てて窓にぶつかり、血をぶちまける。
不気味な転校生の正体とは何かというのが、本作の中心的な謎だ。 
 
注目すべきは冒頭部。
上に書いたように、このドラマは講演会のシーンから始まるのだが、そのおよそ5分間、AKBのメンバーは一切姿を見せない。AKBを目的にドラマを見たはずのファンは、別所哲也のツラを5分間見せられるのだ。たとえば『マジすか学園5』では、冒頭から、鎖で両手を縛られて宙吊りにされる山本彩を映していた。
こうした対比だけでも、『CROW'S BLOOD』が、"AKBによる"という、ただし書きのない、本格的なドラマを志向していることがわかる。
ちなみに、別所哲也の議論はとても世界的な研究者のものとは思えない。せいぜい、大学の一般教養課程の哲学講義で教わる程度の内容だ。わざわざ一流研究者の講演会に来てあの内容だとがっかりするだろなぁ。そのせいか、聴衆が少ない。どう見てもガラガラである。おまけに必要以上に会場が暗い。登壇者をスポットライトで照らすのではなく、会場の照明を点けた方がいいぞ。 

目を覆いたくなるスプラッター描写

このドラマ、本編が始まる前に注意書きが表示される。

残酷なシーンが苦手な方は見ないでくださいね、というやつだ。前情報を極力入れずに見たぼくは、この作品を『着信アリ』のようなJホラーかと思っていたので注意書きには面食らった。なにより、スプラッター描写が本当にエグイ。

前述した、カラスによる窓ガラス突撃シーンや、講演会での染谷将太による刃傷沙汰は序の口である。

特筆すべきは、AKBメンバーによるふたつの残酷描写だ。
ひとつめは、入山杏奈演じる野尻葵の屋上からの落下シーンだ。校庭の隅ではしゃいでいた松井珠理奈と横山由依の目の前に、10mの高さから落下。ゆいはんは血まみれで絶叫。あんにんはなぜか生きており、関節がボキボキにねじれながらも笑顔を浮かべているというゴア描写である。
ふたつめは、宮脇咲良がトラックに衝突されるシーン。道を渡ろうとした咲良を、トラックが一撃。空中で一回転し地面に落下した瀕死の咲良タンの上を、トドメとばかりに別の車が横切っていく。
どちらもトラウマ必死。声を上げて驚いた。
 
通常、こういったアイドル主演作品では、残酷な目にあうのは非アイドルの俳優陣である。主演のアイドルは、あくまでショッキングな場面を目撃し悲鳴を上げるだけだ。ところが、本作ではアイドルが残酷な姿になり、アイドルがそれを見て悲鳴を上げている。ある意味、たまらんシチュエーションだ。
恐怖を喚起させるのは、こうした痛々しい描写だけではない。ぼくが期待していた、Jホラー的な演出もあった。まゆゆがお風呂に入っていると突然電気が消える。母親を呼んでも返事がない。しかたなく自分でブレーカーを上げに行くと……。
「来るぞ来るぞ」という予感させておいてからの「わっ!」。一度目はともかく、二度もやるとは思わなかった。何が怖いって、あのお母さんの笑い声が怖い。林家パー子みたいな高笑いなんだもんなぁ。

適材適所のキャスティング

渡辺麻友と柏木由紀の女子高生はコスプレ感は否めない。
ただ、このふたりの演技はそれを補ってあまりあった。渡辺麻友は、どことなく怯えたような瞳が、巻きこまれ型ヒロインにぴったりだ。他の生徒が露骨に宮脇咲良を避ける中、渡辺麻友だけはなんとかクラスの輪に溶け込めるよう気をつかう。そんなに優しくするからターゲットになるんだぞ、と同情したくなる。
そして、ゆきりんはいかにも嫌な女子高生といった憎々しい表情がうまい。「ああ、こういうクラスのボスキャラいるいる」と膝を打つ感じだ。不機嫌そうに眉をしかめさせたら、これほど様になる女優も珍しいと思う。
主演の宮脇咲良は、楽屋番長の異名をとる咲良タンとは思えない不気味な佇まい。『マジすか学園』では、まだまだ素人っぽさが抜けていなかった。それが、今作では薄気味悪いキャラクターをリアルに表現している。おそらく演出だろうと思うが、作中で一度たりともまばたきをしていない。これが、真希というキャラクターのこの世のものならざる雰囲気を巧みに表現している。マジで不気味です。
その他、加藤玲奈はチャラそうに見えて意外と常識人なキャラクターを、向井地美音はピントの外れたバカな女子高生を、入山杏奈は優等生な見た目とは裏腹に黒い部分を隠し持つ女の子を、木崎ゆりあはゆりあピースそのまんまのキャラクターを、それぞれ見事に演じていた。保健室の先生に壇蜜という配置も、ホラーにはお色気要員が必要なことをわかっているキャスティングである。
オールスター的にAKBメンバーを総出演させるのではなく、クラスのモブキャラには無名の女優を当てているのも、制作陣の志の高さを感じさせる。
その一方で、ロッカールームでの咲良タンの全裸背中シーンや、まゆゆの入浴シーンといった、AKBファンへのサービスショットもあった。
いろんな意味で、そつがない。

ハリウッド級は誇大広告ではなかった

公式サイトでは、このドラマを「ハリウッド級の連続ドラマ」と称している。

うれしいことに嘘じゃなかった。

放送時間にして40分、まったく退屈しない。

全編に漂う緊張感、先の読めないシナリオ、高密度な絵作り、アイドルであることを忘れる演技、本物としか思えないCG。
これと比べると、残念ながら現在放送中の地上波ドラマのなんと安っぽいことか。いや、それはアンフェアかもしれない。ぼくは、同じくHuluで配信されている『アウトキャスト』という悪魔祓いのドラマも見ているが、正直『CROW'S BLOOD』のほうが断然怖くておもしろい。海外ドラマと比較しても、クオリティは上だ。
 
AKB48のファンはもちろん、スプラッターものやホラーファンも必見のドラマである。
 
たとえば、チャンピオンREDで連載中の『死人の声を聞くがよい』や、同誌で連載されていた『フランケン・ふらん』といったゴア&スプラッター描写まんさいのマンガが好きな人、あるいは『片腕マシンガール』のようなキワモノ映画が好きな人は、ぜひとも見るべきです。美少女が屋上から落ちてグネグネになりながら笑顔を浮かべたり、鼻から黒い血を垂らしながら不気味に微笑むんですよ。
好事家の諸君、おめでとう。
『CROW'S BLOOD』が海外でも配信しているのかはわからないが、こういった美少女ゴアが好きな人は世界中にいるので、思わぬところからAKBのファンが増えるかもしれない。
唯一の懸念は、第一話にしてこのクオリティだったことだ。
果して、最後まで維持されるのか。どうか、尻すぼみにならないでくれ。