家から出て握手したら負けだと思ってる

完全在宅アイドルファンによるブログです

チーム8出演のリーディングシアター恋工場を観てきました!

 ※注意!

本稿には、作品の演出および内容に言及した箇所がございます。

9月24日、10時30分開演の『リーディングシアター恋工場』を観てきました。

team8の小田えりな、岡部麟、佐藤栞、谷川聖、山田菜々美が出演した回です。

もうすぐ半年になろうかというこのブログで、生のイベントレポはこれが初。それもそのはずで、ぼくはライブに行ってMIXを打ったり握手会でおしゃべりするよりも、家でDMMの公演を何度も見直したり、グラビア写真を舐めまわすように見るほうが好きなのです。

にもかかわらず、今回「現場」に向かったのはなぜか。

理由はふたつあります。

ひとつは、チケットの売れ行きが芳しくないという話を耳にしたから。これがアンチや野次馬の冷やかしであればいいのですが、前回の『アドレナリンの夜』がZeppブルーシアター六本木というオシャレな箱だったのに対し、今回はベルサール渋谷ガーデンという貸し会議室に格落ちという現実がある。おまけに、福引抽選会やらメンバーのお見送りやらと特典を後乗せするにいたっては、いよいよ販売不振の噂も信ぴょう性がでてきた。

チケットが売れなければイベントが開催されないわけで、イベントが開催されなければソフトも販売されない。在宅派だなんだといっても、まずは現場の人気ありきなんですよね。で、イベントが縮小されるのは困るということで、観に行ったというのがひとつめの理由。

ふたつめは、気になるメンバーが出演していたから。

チケットの値段は6800円。出演メンバーは5人。時間は90分。おおざっぱに計算すると、一人当たり18分の出演時間に1360円。仮に推しメンがひとりしか出演していない場合、なんと、彼女の18分間の活躍を見るためだけに1360円を払うことになる。これが高いか安いかは人それぞれだが、うれしいことに、土曜日の10時30分の回には、小田えりな、岡部麟が出演するではないか! 以前も書いたように、『オールナイトニッポン』を聞いてからというもの、ぼくはこの三人に空気感にメロメロになっている。まして、期待のセンター山田さんや、入山杏奈に似たクールビューティーひじりんもいるとなれば、これは6800円は激安である。

なにより、空席だらけの客席でこの5人を悲しませたくないという謎の義侠心を発揮してしまった。これがふたつめの理由です。

前置きが長くなりましたが、こっからが本編です。

リーディングシアター恋工場レポ

会場入りまで

山の手線の某駅から渋谷に向かいます。車体は『ラブライブ!』にラッピングされ、車内広告も『ラブライブ!』一色。いっしょに乗車したガイジンさんは、この光景になにを思うのか……なんてことを考えている間に渋谷に到着。

時間の見積もりを誤っていたせいで、この時点で10時10分! 会場までは徒歩10分だが、小走りで向かうことに。ベルサール渋谷ガーデンは、道玄坂を登り道なりに行くと辿りつくので迷う心配はない。しかし、本当に坂の真上にあるので、歩くとけっこうきついです。走った甲斐もあって、20分には到着しました。

会場に入るまえに、福引にチャレンジ。商店街にあるようなガラガラを回すと、「おめでとうございます、黄緑です」とベルを鳴らされ祝福される。引きかえ所で玉を見せると、「100発98中権利」をゲット。

いや、たしかに大当たりだけど、在宅派としてはビミョー。

友だちと同伴なら権利も譲れたし、もっと早く来ていれば周りの人にプレゼントすることもできただろうが、あいにく、福引をやっているのはぼくひとりだった。

できればサイン入りパンフがよかった、なんならみーおんデザインの缶バッチでよかった……なんてことを言うとバチが当たるので、せっかく当たったのだから劇場公演を楽しみます。

そんなこんなで会場入り。

会場の様子はこのまとめサイトが詳しいです。

MというかWの形をしたランウェイが会場を横切るように置かれた、変な会場。部屋の奥、中心、手前に入口があって、そこから朗読をするメンバーが出たり入ったりする。

ぼくの席は会場の中心からは外れた位置でしたが、ステージそのものには近いため、至近距離でメンバーを観れました。当たり席とか外れ席とかはない感じですね。で、席の埋まり具合なんですが、噂のとおり空席が目立つ。ぼくの目の前にはポツポツ空席があってちょっと寂しい入りでした。

開演

イケメンが入場するや、舞台の奥のお立ち台へ。おもむろにヴァイオリンを弾きはじめる。続いて、メンバーが中心の入り口から入場。自然と拍手が沸き起こった。

プロローグ

なんだか思わせぶりなナレーションとともに、会場の奥と手前にあるプロジェクターにいろんな画像が映しだされる。ナレーションが終わると、ステージ中央に立った5人がそれぞれに恋にまつわる格言やら問答やらを語り合います。「きっと恋をする」という決め台詞があって、5人は退場。

谷川聖「一人舞台」

彼氏相手に恋愛劇の練習をしている女の子が主人公。

奥の入り口から、ひじりんがひとりで入場。うっすら光を放つ本型のデバイスを手に、朗読をしながらステージを歩き、最後はぼくの目の前まで。ひじりんが近づくにつれ、周りの観客もソワソワしているのを感じられておもしろかった。まさかここまで至近距離に来るとは想像できないもんなぁ。

物語が終わると、手前の入り口から入ってきた山田と入れ替わるように退場。

ストーリー的なおもしろみはないが、台本片手に舞台の稽古をしているという内容を一発目に持ってくる演出は、朗読劇という構造を利用した巧みな手法だと思った。

山田菜々美「沈黙」

アイドルが寡黙なカメラマンに恋をしたというお話し。

いままでモテモテだった女の子が不器用で仕事一筋の男性を好きになった。男ときたら、勇気を出して食事に誘ったというのに、「アシスタントも一緒に連れていっていいですか?」なんて聞く野暮な奴。とうとうふたりきりの食事が叶ったというのに、会話は弾まず沈黙が広がるばかり。けど、その沈黙が不思議と心地よくてという内容。

仕事に邁進する唐変木な男って魅力的ですよね。カメラマン役に西島秀俊さんをキャスティングしてドラマ化できそう。

この朗読劇の中ではリアリティがあったし、山田のお芝居も上手でした。

朗読しながら舞台の奥へと遠ざかっていくのだけれど、肉眼で全身を見つつ、プロジェクターに写った顔のアップで細かな表情を楽しむことができるので、遠くにいっても楽しめます。

佐藤栞「焼肉屋」

山田と入れ替わりにしおりんが登場。

友達以上恋人未満の幼馴染の男女のストーリーです。

たまに焼肉屋で会っては近況報告をし合うふたり。ある日、男に札幌への転勤が決まって曖昧な関係が発展する。「焼肉屋にいるカップルはできてるんだって」という、しおりんの第一声がフリとなり、最後の「焼肉屋にいるカップルはできてるんだろ?」という男の決め台詞でビシっとオチる。キスシーンの朗読もあり、よくできた構成でした。

しおりんのさっぱりとした口調と声音が、このお話しの主人公にぴったり。美人なんだけど男っぽいというか、こういう娘が幼馴染だったら、なかなか恋愛に発展しなそうな気がする。

岡部麟「KAKEOCHI」

恋人からのプロポーズを未来への不安から断り別れてしまった主人公。彼女は高校の同窓会に出席するが、そこには、駈け落ちを誓ったものの約束の時間に現れなかった昔の彼氏も来ていて……という話。

タイトルがローマ字表記なのは、劇中の「私たちには駈け落ちという言葉が遠い国の言葉に思えた」にちなんでいる。

上記のセリフのように、思春期特有の痛さや切迫感がよく描かれていて、青春小説みたいだった。しかし、駈け落ちの真相はやや分かりにくい上に、いくらなんでも、久しぶりに合った元カノに「駈け落ちしよう」はありえねえぞ。

小田えりな「ネクタイ」

たしか、この話から中央入り口からの登場になった気がします。

母ひとり娘ひとりで育った主人公が、父ひとり息子ひとりで育った男と職場で出会い恋に落ちる話。

「二人が結婚すれば四人家族だね」という男性のセリフがほっこりする。父親がいなかったせいで彼のネクタイを結んであげられなかった主人公は、母親を男に見立てて練習して次はばっちり結ぶことに成功。お返しに、男は主人公を肩車してあげる。主人公の「違った景色が見えてきた」というセリフが印象的。出勤する彼のネクタイを結んであげるって昭和の世界観だが、おだえりが演じることで古くささは消えている。それどころか、明るさいっぱいの声が健気な主人公の性格をより魅力的にしていた。

ストーリーもいい話で、ちょっと涙ぐんだ。

谷川聖「雪」

初のシリアス展開。

末期ガンに侵された男と、彼を支える主人公の難病もの。

展開もオチもテンプレだが、ひじりんの甲高く甘えん坊な声は、難病の彼を前にした女性の、事実を受け入れきれない様子を上手に表現できていたと思う。こんな彼女がいながら死ぬのは、さぞかし無念だろう。

山田菜々美「電波状態」

海外に勤務する男と日本に住む主人公の遠距離恋愛の話。

日本と海外とに別れているため、週に一度、携帯電話でおしゃべりをするふたり。主人公は、いつしか携帯の電波状況で一週間の運勢を占うようになっていた。ところが、彼女の住むマンションは電波の入りが悪く……。

ベタなオチだけど、ロマンチックでよかったです。

ただね、似たようなことをして間男と鉢合わせになる可能性もあるんだよなぁ。

山田のやや低い声は、大人の女性を演じさせると効果的ですね。「沈黙」といいこれといい、山田の意外な魅力に気づく機会だった。

佐藤栞「スタンド」

映画の趣味も好きな動物もお揃いのふたりは、あっという間に同棲することに。ところが、たったひとつだけ異なるところが。男はナイトスタンドを点けたまま眠りたがり、女は部屋の明かりをすべて消さないと眠れない性質だった。

妥協というものをテーマにしたこの話は、終始コミカルに進行しながら考えさせられる内容だった。お話しの最後に流れる、「あなたには譲れないものがありますか」というナレーションの言葉が効果的。譲れないものを譲れる相手こそが運命の人ってことですね。

ラストの「彼が眠る顔を見ていたかったのだ」という、しおりんのセリフがかわいい。

岡部麟「暗証番号」

円満に別れたカップルのお話。

暗証番号の意味は、別れた彼の誕生日がキャッシュディスペンサーの暗証番号ってことです。

「ひとりになったとたん出来合いのものを食べるなんて悲しい、料理をしよう。辛いものが苦手な彼のせいで食べられなかったタイカレーを作ろう」という、ちょっと強がりなモノローグ部分がすごく良かった。

べりんちゃんが失恋したら、本当にこういうこと言いそう。

少女マンガ的というか、恋愛エンタメ小説みたいな感じですが、ぼくはこういうの好きです。

小田えりな「降水確率」

これはすごく良かった。

「結婚する気はあるのか」と聞く主人公に、彼は「51%」と答える。49%の曖昧さを残し、はっきりしない彼の態度にうんざりした主人公は、別れを告げることに。ひとりになった主人公は、雨の中びしょ濡れになったサラリーマンを見かける。たまらず、主人公は持っていた折り畳み傘を手渡した。雨が降るか降らないか。折り畳み傘は曖昧さの象徴なのだ。失恋の悲しみに落ち込んでいた主人公は、ある日、会社のそばにあの傘を差した男を見つける……。

降水確率と結婚への本気度を重ね、曖昧な答えで保険をかける態度を折り畳み傘に象徴させる。最後は、男性の「来るか来ないかです」というきっぱりしたセリフによって、新たな恋の始まりを予感させる。

小田えりの朗読もさることながら、純粋に物語として優れていた。秀逸の出来です。

エピローグ「せかいのおわり」

5人が総出演の長めの話。

小田えりな扮する主人公は、子どものころから恋に傷ついてばかり。彼氏にフラれたれのをきっかけに、とうとう自殺を決意して、マンションの屋上にあがる。と、そこに同じく4人の自殺志願者があらわれて……という展開です。

ま、この4人の正体はバレバレというか、要するに4人は昔の自分で、心の中のトラウマと向き合う話なんですが、このストーリーはそこに収まらないのが良かった。というのも、普通この手の話は過去の自分と向き合うことでトラウマが解消し、未来に希望が生まれるってパターンなわけです。実際、そのパターンを踏襲してはいる。

ところが、この「せかいのおわり」では、主人公の小田えりなが希望を抱いてステージから退場した後も、物語は進行する。

「よかったね、未来の自分」では終わらない。

残された4人はそれぞれに別の人格として会話をすることで、自分たちも少しずつ成長していたことを知る。小学生のころよりも中学生のころの方が、中学生のころよりも高校生のころの方が、いい人生を送っていることに気づく。そして最後に、今の自分(小田えりな)ががんばるのと同じように、昔の自分(4人)ががんばることで、あたかも並行世界のように、今とは違う別の未来が広がるのだという結論に達する。

これはねぇ、グッときました。

いつだって未来は変えられるぞという、めちゃくちゃ熱い思いがこもった内容に涙ぐんでしまった。……のだが、物語のクライマックス、出演者が客席に鍵を投げるシーンがあり、そこはサービスであると同時に大変感動的な場面なんですが、ぼくの席のそばに来た山田はまさかのミス。なんと、放られた鍵はステージに落下。山田の苦笑いにつられ、客席からも温かい笑いが起こる。

危ないあぶない。これがなかったら、たぶんぼくは号泣していた。

自殺をしようという役柄に小田えりなとはミスマッチな感じだが、この主人公というのがなかなかのサイコ野郎なんです。小学生のころは便箋に「○○君が好き」という文章を死ぬほど書いて渡したり、中学生のころは、読書が好きな先輩が図書館で借りた本を、貸出カードを盗み見て後追いして読んだりと、はっきりいってアウトな人。で、そのギリギリ犯罪者の側にあるキャラクターに、小田えりなの常に陽気な声音がしっくり来ていた。おまけに、最後の最後に明るい展開になってからは、主人公が前向きになったことが、小田えりなの声だけでわかるようになっていた。

終わってみると、最高のキャスティングでした。

フィナーレは、ヴァイオリンのアレンジに合わせて出演者が「スカートひらり」を熱唱。これも、ステージの端から端まできっちり移動して歌ってくれる。なお、先ほどミスって置き去りになっていた鍵は、山田がきっちり拾って客席に投げ直していました。すぐそばに山田菜々美生誕Tシャツを着た男性が座っていて、おそらくその方めがけて投げたのだろうが、ここでも力なく鍵は落ちて別の男性の手の中に。

ちょっと文句をいわせてもらうと、「せかいのおわり」からの展開として、「スカートひらり」は合わない気がする。この朗読劇が提示するテーマは、恋とはただの惚れた腫れたではなく、自分の人生を肯定することであるという風にとらえたので、「スカートひらり」のような、単純なラブソングはそぐわないと思う。NMB48の「君と出会って僕は変わった」のが断然テーマに近いですよ。

まあ、最後にNMBの曲を歌うってのは無理な話だってわかってはいるんですが。

まとめ

すっげえ長くなってすいません。

観劇レポに慣れてない上に、自分のための記録として思ったことを残しておきたいという気持ちもあって、ここまでの長さになりました。

team8のメンバーを生で見るのはこれが初めてで、やっぱり実物はテレビで見るよりずっとかわいいなとベタな感想を抱いてしまった。特に、佐藤栞はとんでもなかった。もちろん顔はかわいいんだけれど、それ以上にスタイルがいい。帰りのお見送りでは、まぶしすぎて正視できなかった。同じ高校のクラスにこんなのが存在したら、正気じゃいられなかっただろう。

あとですね、ちょっと嫌なことを書くと、ぼくの席の近くに座っていた二人組のうちのひとりが、途中から完全に飽きてたんですよ。延々髪の毛いじったり、そっぽ向いたりしてました。ただ、この人の気持ちもわかるのは、朗読しているメンバーの演技はともかくとして、お話自体があまり面白くないという大問題があるからです。

各エピソードは短編にも満たないショートショートだし、どれも恋愛という縛りがあるから話を転がすのが難しいのは理解できる。しかし、それにしたって転勤やら海外出張やらといった展開が多すぎやしないか。あっと驚く結末を書けとはいわないが、もうちょっと物語のクオリティに気を使ってもバチは当たらないぞ。

まあ、そういう不満も最後の「せかいのおわり」が補って余りある出来だったんだけども。

ちなみに、パンフレットは前説と全日程のメンバーがあるだけです。これに1500円は高すぎると思うが、お布施と思えば安いものかな。

帰りは、渋谷駅そばの「麺屋 大和田」という家系ラーメンで食事をしました。渋谷によく来る大和田南那は、この店の存在を知っているのだろうか。たぶん、なーにゃとは関係ないいと思うけど、味は美味しいし店員さんの人当たりもいい、良いお店でした。

 

なにぶんメモを取っていなかったため、細かなあらすじやセリフや順番が間違っているかもしれませんが、どうぞご容赦ください。思い出したことや気づいたことがあったら適宜付け加えるので、それもご承知おきを。