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家から出て握手したら負けだと思ってる

完全在宅アイドルファンによるブログです

中森明夫よ、「まゆゆvs指原」というアングルにとらわれるな

宮脇咲良ファースト写真集 さくら

日刊ゲンダイDIGITALにこんな記事がありました。

www.nikkan-gendai.com

要旨としては、これまで右肩上がりだった得票数が今回はじめて下がった。全体に総選挙にたいするマンネリ感があるということだ。作家の中森明夫さんは、指原対まゆゆというアングルの行き詰まりを指摘し、次のようにコメントしている。

指原を脅かす存在が見当たらない現状は面白くありません。プロレス用語でいう“アングル”だと、ヒールの指原VS正統派の渡辺麻友という構図が生まれるのですが、指原(24万3011票)とまゆゆ(17万5613票)の得票差を見たら来年の総選挙までの1年で逆転は難しいし、新たなドラマが生まれにくいのは確かです。指原は連覇を達成したのだからベストジーニストのように総選挙からの勇退を検討してもいいかもしれません。

実は、中森さんは総選挙の公式ガイドブックにおいても指原殿堂入り案を提示している。イベントの前後で発言がブレないあたり、これは彼の心からの思いということだろう。

しかしですね。

はっきりいって、中森明夫さんのいう「指原殿堂入り」は悪手であると、ぼくは思う。握手ではなく、悪手ですよ、念のため。

なぜか?

その理由を説明する前に、そもそも論として、ひとついっておくべきことがある。それは、「指原vsまゆゆ」というアングルは本当に成立していたのかということだ。

渡辺麻友はベビーフェイスだったのか?

指原vs渡辺麻友の1位争いがなぜおもしろいのかといえば、これがヒールとベビーフェイスの戦いだからだ。もともと中堅程度の人気だった指原は、スキャンダルによりAKBからHKTへ移籍する。誰もが復帰の目はないと思ったものの、迷える羊たるHKTメンバーを導き、並み居るバラエティ番組では、ぶっちゃけキャラで勝利を収め、ついには博多の地で反逆の狼煙をあげる。

一方の渡辺麻友は中学生でAKBに入って以来、AKB一筋。フワフワキャピキャピアイドル路線のチームBに所属し、渡り廊下走り隊でのユニット活動やソロ活動もするという正統派アイドルだ。

こうした要素だけ取りだせば、確かに悪玉指原と善玉まゆゆという構図は成り立つ。多くのファンもそういった目で総選挙の結果を見ていた。実際、第5回から第6回の流れは、ヒール指原がベビーフェイス大島を破りベルトを奪取し、それを再びベビーフェイスたる渡辺が取りかえすという、絵に描いたような結末だった。

たしかに、この二度の総選挙はおもしろかった。

しかし、この二度の総選挙のおもしろさを認めつつも、個人的にはわずかな不満もあった。というのも、渡辺麻友はベビーフェイスたるふるまいを徹底できていなかったように思えたからです。

アングルというのは、見る側と演者の共同作業で成立するものであることはいうまでもない。われわれ見る側が、「指原vsまゆゆ」を「ヒールvsベビーフェイス」という点から見ていたことは上に書いた通り。

では、演者のふるまいはどうだったのか。指原については、彼女のヒールぶりは満点。スキャンダルで失脚しながら、ところどころで文春ネタを使ったり、過去の恋愛について語ったり、バラエティ番組では積極的に汚れ仕事を引き受ける。それによって仕事が増え、結果的にアンチはますます怒りを募らせるという流れ。まさにヒールにふさわしい行動。

これに反して、残念ながらまゆゆはベビーフェイスを引きうけきれていなかった。たしかに、アイドルにおけるベビーフェイスってなんだというのは難しい問題ですが、たとえば平嶋夏海との対談でいった「許してないわけじゃないですけど、100%許してるわけでもないかな」のようなひとこと。あるいは、情熱大陸での「まじめな子が損をする」発言。いわば、本当はおまえらを認めてないぞ的な"口撃"をするべきだった。それが現実はどうか。今回の総選挙を見れば明らかなように、渡辺麻友は指原莉乃に屈してるじゃん。まゆゆが本当に指原が好きなのかどうかは置いておいて、公の場であそこまで仲良くされたら、ヒールvsベビーフェイスの構図は成立しない。見る側がいくら王道アイドル対邪道アイドルと鼻息を荒くしたところで、本人たちが仲良くしてたら、そんなものが盛り上がるわけがない。王道アイドルの支持者だって、おれたちは本当にまゆゆを御輿として担いでいいのだろうかという迷いも捨てきれないだろう。

たしかに、プロレスと違ってアイドルは好感度が大事だし、まゆゆ自身も潔白なのかといえばアヤシイ。けれど、もしどこかで、「スキャンダルをネタにする人には負けたくない」のようなひとことをいっていれば、そのときこそ、まゆゆvs指原というアングルはそのまま「アイドルとはかくあるべし」という思想上の争いに発展し、どちらが勝つにせよもっと長く続けることができたはずだ。火種はたしかにあったはずなのに、炎に結実することはなかった。今回これだけ票数に差がでたのは、はっきりいって、ベビーフェイスとしての態度を徹底できなかったまゆゆの責任である。

殿堂入りは神聖化であり墓場である

さて、ここまでタイトルと全然関係ないことを書いてきたようだが、めちゃくちゃ関係あるんです。というのも、指原vsまゆゆは未消化のまま終わったわけですが、ベビ―フェイス対ヒールというアングルまで使えなくなったわけじゃない。指原という存在にはまだまだ魅力がある。ここまでヒールという役柄を演じきれる人材は、この先AKBには出てこないだろう。だからこそ、指原を殿堂入りさせることはもったいない。殿堂入りとは神聖化であり墓場である。もし指原を殿堂入りさせてしまえば、そのときこそ指原は絶対不可侵の領域になってしまい、物語は終わってしまう。これは、指原という稀代の天才を墓場送りにするに等しい行為である。「指原vsまゆゆ」の物語が終わったのならば、こんどは役者を変えて善玉対悪玉の演じればいいだけの話だ。絶対ヒールにして王者たる指原にメンバーが挑む姿は、それだけで十分にドラマになる。当然、指原との戦いの前には、挑戦者をめぐる争いがある。いわば、王座挑戦権をめぐる上位ランカー同士の戦いですね。当然、この争いの主役になるのは次世代と呼ばれるメンバーたちだ。

と、ここまで書いているぼくの頭の中には、実は新たな物語の主人公の姿が思い浮かんでいる。それは、宮脇咲良である。

宮脇咲良といえば、HKT48の、いやAKB48グループの押しも押されもせぬエースだ。38thシングルの『希望的リフレイン』では渡辺麻友とともにWセンターを、『マジすか学園5』では、ぱるるとともにW主演を務め、続く『マジすか学園6』では、主役を務めた。さらに、10周年記念シングル『君はメロディー』では、前田敦子と大島優子を両翼に従えてセンターに君臨。7月から配信されるHuluオリジナルドラマ『CROW'S BLOOD』では、渡辺麻友とともにW主演を務めることで話題になった。

こうして経歴をあげると、運営サイドもグループ全体をけん引する存在にしようと思っていることがありありとわかる。実際問題、今年の総選挙で6位だった宮脇はまだまだ役者不足だが、彼女を猛プッシュするのはそれを補ってあまりある利点がある。なぜなら、さくらたんを主役にすれば、指原との師弟対決アングルができるから。宮脇咲良はHKT1期生。いってみれば、指原のバリバリの子飼いだ。そんなさくらたんをベビーフェイスとして起用すれば、善玉対悪玉のアングルに加えて、師弟対決アングルまで加味されることになるというわけです。

さらにさらに、ここに兒玉遥もからんでくる。立ち上げからセンターを務めていたはるっぴだったが、HKT48のメジャーデビューシングルでは、センターを2期生の田島芽瑠に奪われる。そして、同期の咲良はAKB48との兼任という出世ルートに乗り、とうとうグループ全体のエースにまでなりあがった。「腐ったら負け」の精神で努力をし続けたものの、去年の総選挙では、選抜入りした咲良を尻目にあと一歩の17位。それが、今年の総選挙ではとうとう選抜入りしたわけです。雑草のように、くじけてもくじけても立ちあがり続けるはるっぴが、当然咲良の躍進を指をくわえて見るわけがない。つまり、ここで「咲良vsはるっぴ」の同世代対決アングルが生まれるわけだ。

もちろん、本店のAKB48が黙っているわけがない。『マジすか学園』では咲良の子分に甘んじた向井地やこじまこや高橋朱里も、この争いに参戦するだろう。あと5年は卒業しないと明言したSKE48の松井珠理奈も、ベテランとしての実力を見せつけるはずだ。さらに、指原と同期の北原里英の存在も見逃せない。指原が博多で王国を築いたように、北原は新潟でNGT48という王国を築き、弟子を送りこんでくるはず。先日の総選挙における「新潟の女宣言」と、それを聞いたメンバーの反応を見る限り、すでに人心掌握はバッチリだ。NGTの先兵が加藤美南であることはいうまでもないだろう。

ドラマの種を見逃すな

ぼくの考える理想のストーリーはこうだ。

ある日、突然、宮脇咲良が指原莉乃に反旗をひるがえす。指原否定宣言だ。それに続いて、兒玉遥による「わたしは咲良の噛ませ犬じゃない」発言が飛びだし抗争が本格化。HKTが闘いのリングになる。指原vs宮脇&渡辺という新たな善玉対悪玉の物語を軸に、宮脇vs兒玉の同世代抗争、宮脇vs向井地&高橋朱里&岡田奈々という、AKBをめぐる軍団抗争、指原vs北原&かとみなという同世代抗争がからみあう。

ほら、おもしろそうでしょう。

もちろん、現実にはこんな展開はありえない。「わたしはAKBを壊したい」といったように、咲良にはアジテーターとしての素質とそれを担う意志が感じられるものの、完全に指原の向こうを回ることはできないでしょうね。ここがプロレスと違うところ。アイドルは八方美人が求められるのがツライ職業だ。

とはいえぼくがいいたいのは、ドラマの種は無数にあるぞってこと。そして、ドラマは与えられるものじゃなくて、見る側が能動的に作るものでもある。

中森明夫よ、いつまでも「まゆゆvs指原」にとらわれるな。ドラマの種は無数にある。くすぶった火種に息吹をあたえ火柱にすることこそ、評論家・中森明夫の仕事のはずだ。