AKB48の46thシングル選抜メンバーへの感想―あるいは、なぜ須田亜香里は選ばれなかったのか―
AKB48の46枚目のシングルの歌唱メンバーが発表された。
センターを務めるのは島崎遥香。
ここ最近のシングルは、向井地美音や宮脇咲良といった若手メンバーがセンターに抜擢されていただけに、やや意外な人選。この起用によって、いよいよ近々での卒業説が信ぴょう性をおびてきた。渡辺麻友や柏木由紀よりも先に卒業するというのは驚きだが、一方で、主演映画やドラマがこれだけあるならば、さっさと女優の道にシフトしたほうがいいのもかもしれない。
幸いにも、バイトルのCMという観測気球が上がっていたおかげで卒業は織り込み済み。発表への耐性もばっちりできている。卒業コンサートは盛大に行って、AKB48史上最大級の問題児にして魔性の女の門出を祝って欲しい。
ちなみに、仮に本当にこれがぱるるの卒業への花道になるとすれば、大物メンバーの久しぶりのセンター曲=卒業という図式が成立する。とすると、次に渡辺麻友や柏木由紀がセンターになったときは、それが彼女たちのラストシングルになるという蓋然性が高くなる。
オタにとってはうれしいやら悲しいやらの複雑なセンター曲になりそうだ。
ま、それはまだ先の話。
問題なのは、46thシングルのメンバーである。
選抜メンバーの選考基準については物議をかもすのが常だが、今回は総選挙直後のシングルとあって、ひときわ波乱を呼んでいる。実際、NMB48の山本彩も複雑な心境を吐露しているし、SKE48の須田亜香里は、もっとはっきりと悔しさを明らかにした。
この二人の気持ちもわかるが、一方でしょうがないよなという気もした。
運営サイドの思惑や配慮を想像すると、SKE48やNMB48が冷遇されてHKT48が優遇される理由も、なんとなくわかってくる。
なぜ須田亜香里は選抜に選ばれなかったのか?
発表されたメンバーを見て真っ先に思うのがこれ。
総選挙で7位にランクインした須田亜香里が、なぜ46thシングルの選抜に選ばれなかったのか。
ひとことでいえば、これは年齢と所属の問題である。
須田亜香里は今年で25歳。はっきりいって、アイドルの適齢期はとっくに過ぎている。もちろん、ステージ上でのパフォーマンスは群を抜いているし、握手会での人気も衰え知らずだ。SKE48の顔としては文句がないメンバーだと思う。
しかし、それはあくまでSKE48としてはである。
AKB48の一員として見た場合、果たして25歳の姉妹グループ所属メンバーに貴重な一枠を使う価値があるのかどうか、大いに悩むところだ。そして悩んだ結果、今回は本店の若手メンバーに枠を使うことにしたのだろう。
たとえば、須田が20歳だとしたら、あるいはAKBとの兼任メンバーだとしたら、間違いなく46thシングルにも選ばれていたと思う。
なぜNMB48からは山本彩しか選ばれなかったのか?
先日開催されたコンサートで、NMB48はチケットを完売することができなかった。つまり、あえて意地悪な見方をすると、これはNMB48への見せしめである。穏当ないいかたをすれば、NMB全体を奮起させるためのきっかけ作りだ。
また、NMB48のメンバーで総選挙の16位以内にランクインしたのは山本彩だけだったことを考えれば、ここでも枠の問題が浮上する。つまり、22人という枠(超選抜の9人がいるので、実質13枠)に、姉妹グループのメンバーをランクインさせる余裕があるかどうかという話である。
アンダーガールズにランクインした白間美瑠はギリギリの線上だが、ぼくが運営のひとりなら、AKB48の若手メンバーをねじ込みたいところだ。実際、川本紗矢が選ばれたのはそういう理由が大きいんじゃないかな。
HKT48から4人が選抜入りしているのは多すぎないか?
たしかに、AKB48のシングルにHKTメンバーが4人とだけ聞くと、これは多すぎる。どう考えてもHKTはヒイキされている。しかし、実体をこまかく見ると、そうともいえないことがわかってくる。
たとえば、指原莉乃はHKTメンバーとしてカウントしていいんだろうか。所属はHKTだが、世間の認識ではAKBメンバーだろう。超選抜でもフロントメンバーとしてメディアに出ている。また、宮脇咲良と兒玉遥はAKBとの兼任だし、ふたりとも超選抜としての地歩を固めつつある。
とすると、この3人はもはや実質的にAKBメンバーとして考えたほうがいいと思う。
なにより、HKT48は選抜総選挙で16位以内に3人をランクインさせた。これは、AKB48に次ぐ人数である。ついでにいえば、神7にも2人がランクインしているし、兒玉遥も島崎遥香に次ぐ9位である。ここまでの結果を残した以上、HKT48が優遇されるのはむしろ当然といえる。
松岡はなが選ばれた理由は、期待の若手だからでしょうね。
NGT48から2人も選ばれたのはなぜか?
ひとことでいえば、NGT48は選抜総選挙で柏木由紀と北原里英の2名を16位以内にランクインさせているからだ。同じく2名をランクインさせたSKE48との違いは、兼任メンバーがいるかどうか。NGTの場合、柏木由紀はAKB48とNGT48の兼任だ。一方、松井珠理奈はすでに兼任が解除されている。したがって、北原の一枠と柏木の兼任枠を使って中井りかが選抜入りしたと考えると、この結果も不思議ではない。
なぜ中井りかが選ばれたのかというと、Showroomでの活躍が評価されてのことだと思う。
武藤十夢が選ばれていないのはなぜか?
おそらく年齢が理由。
ここ最近のAKB48は、渡辺麻友や島崎遥香の卒業後をにらんだ選抜選考をしている。要するに若返りをしようと模索しているわけで、その状況にあって武藤十夢は21歳。歳をとりすぎているわけではないが、向井地美音や岡田奈々が十代であることを考えると、ややキビシイ……。また、大学生であるために、スケジューリングに苦労するという理由もありそう。
まとめ
各メンバーのガチオタからすれば憤懣やるかたなしといったところだろうが、探そうと思えば、こんな具合に理屈が見つかる。実際問題、AKBの選抜メンバーを考えるのは非常にめんどくさい。柏木由紀、小嶋陽菜、指原莉乃、島崎遥香、松井珠理奈、宮脇咲良、山本彩、横山由依、渡辺麻友の9人は超選抜として絶対に外せないメンバーだし、最近では兒玉遥も超選抜入りしてきた。
つまり、はじめから10人は確定しているのだ。
今回は22人選抜なので、すでに残るは12枠しかない。総選挙で16位以内に入った若手メンバーの岡田奈々、高橋朱里、向井地美音を入れると、残るは9枠だけだ。
なんと、実質自由に選べる枠は9つしかない!
さらに、俗に聖域と揶揄される入山杏奈、加藤玲奈はアンダーガールズだし、三銃士のひとりの小嶋真子もアンダーガールズだ。この3人も加えると、残るは6人。
この6枠を誰からの不満もなく差配するのは、たとえ田中角栄でも不可能だ。
その意味で、今回の選抜メンバーは、①名前の知れたメンバーを入れつつも、②総選挙で結果を残したメンバーも抜擢し、③期待の新人も入れる、という三つの命題をこなすために苦闘した後が見える。
運営のお偉いさん方、お疲れさまでした。
選ばれたメンバーはがんばって。
惜しくも漏れたメンバーは、これが政治的な思惑が反映されたものであることを認識して、一喜一憂せず、努力を続けてください。
こみはるちゃん、初選抜おめでとう。