AKB48 46thシングル『ハイテンション』収録曲レビュー
AKB48の46枚目のシングル『ハイテンション』の収録曲が続々と公開されています。
本格的な感想は発売後にするとして、いまのところの印象を書いておくことにする。
ハイテンション
島崎遥香がセンターのA面。
これに関してはすでに書いたので繰り返さないが、カップリング曲を聴いてからあらためて「ハイテンション」に戻ってみると、もうA面はどうでもよくなる。パーティー系の楽曲では「恋するフォーチュンクッキー」のが良いし、多人数形式のMVという点でも、同じく「恋するフォーチュンクッキー」のが人数が多くて迫力がある。
島崎遥香の合図で踊りだすという演出は悪くないのだけれど、それなら終盤に向かってどんどんスケールや人数が増えないとMVとして雰囲気が出ない。にもかかわらず、これは最後に大失敗を犯している。というのは、最後の打ち上げ花火のシーン。派手にぶち上げたつもりだろうが、このロングショットで明らかになるのは、結局盛り上がっていたのは船の上の人たちだけという寂しい事実だ。こういう撮り方をするなら、街全体がハイテンションですって演出をしないと台無しでしょう。
これをうまくやったのがSKE48の「コケティッシュ渋滞中」。「ハイテンション」と同じくフラッシュモブという形式を採用しながらも、名古屋の街でロケをしSKE48のダンスにつられて踊りだすという演出にすることで楽曲との関連性もあったし、最後はオアシス21が映ることで、名古屋という街全体がSKEに夢中になっているという感じが出ていた。
「ハイテンション」はいろいろと残念な出来。
抑えきれない衝動
メンバー選考が渋くてアツイ!
大島涼花、谷口めぐ、武藤十夢、樋渡結依までは想定の範囲内。
倉野尾成美、山田菜々美、坂口渚沙もチーム8のエース格だから納得。ところが、後藤萌咲が入ったあたりから、俄然こちらもソワソワしてきて、久保怜音、高橋希良のドラフト二期生が来て歓喜。
村山彩希と福岡聖菜がいるとなれば、むしろこっちがA面だ!
運営は、とにかくかわいい聖ちゃんとゆいりーをやっと推す気になったのか。
遅いよ!
ドローンJK部ってわけわかんないし、Type-Dに収録される「思春期のアドレナリン」とテーマが似てるし、「青春のド真ん中」って長州力かよって感じだが、赤いジャージを着たゆいりーとメガネのお福ですべての疑問や問題点は吹っ飛ぶぞ。
谷口めぐの大根芝居もすばらしい。
なんか昔のフォークソングを現代風にアレンジしたみたいな感じで、それが絶妙に曲の雰囲気とあっている。できれば、メンバーの生演奏で見てみたい。
これは良い仕事した。
ここまでが全タイプ共通で、以降はタイプ別。
ハッピーエンド
Type-A収録。
歌唱メンバーは、れなっち総選挙によって選ばれたメンバー。
小栗優以は、このシングルの中で合計三曲歌っており、そのうち二曲でセンターを務めている。単純にすごい。というか、もうちょっとバランス取ってもいいんじゃないかなと思う。
前回の「マドンナの選択」と違いかなりブリブリのアイドルソング。夢の中に好きな男の子が出てきたけどハッピーエンドは現実でって、ゆいゆいにぴったりのファンシーな歌詞だ。花を背景にしたリップシンクは「さよならクロール」みたいだし、HKT48のユニット曲「片思いの唐揚げ」のような妖精っぽい衣装を着ていて、全体的にかわいさを全面に押し出している。
MVのコンセプトは、いつも見つかってばかりのれなっちが他のメンバーを見つけるって感じだろうか。でも、缶蹴りって見つかった人も鬼に加わるんだっけ?
Better
Type-B収録。
島崎遥香卒業ソングとカッコ書きされた楽曲の歌唱メンバーは、大場美奈、島崎遥香、島田晴香、竹内美宥、中村麻里子、山内鈴蘭、横山由依、そして永尾まりや。
永尾まりや!
9期生、いいメンバーだなぁ。
冒頭のぱるるの表情に胸が苦しくなり、中村麻里子の顔面力に圧倒され、切なくも爽やかなメロディと失恋しても彼女を想う男を歌った歌詞にぐっときて、ぱるるの笑顔に涙した。「君が君らしく生きられるならいい」、「海がいつまでも変わらないように」って、このフレーズをこのメロディで歌われたら無条件で泣く。
すばらしい卒業ソングだ。
星空を君に
Type-C収録。
歌唱メンバーは、Team8 EASTと題してteam8の東側のメンバー。
ラジオで宇宙初解禁されたのを何度も聴いているので、もう歌詞を覚えてしまった。
"自動車に乗って森を抜け夜空の星を見に行こう"という歌のイメージ通り、ドラムセットが疾走感を演出していて、深夜の学園アニメのオープニングソングみたい。さすがにダンスはキレキレで、特に「本当の光を見せてあげたかった」の振付は、たぶんAKB本体のメンバーはこれほどぴったりそろえることはできない。
MVは制服バージョンと作業着バージョンとパジャマバージョンがあってお得だし、早坂つむぎと小田えりなのオーバーオール姿を見られただけで、こちらは満足である。
思春期のアドレナリン
Type-D収録。
歌唱メンバーは、8の西側をまとめたTeam8 WEST。
「星空を君に」以上の本格的なダンスナンバーで、のっけから非常に忙しい。これはSKE48でも踊れないと思う。
なぜ料理をしているのかさっぱりわからないが、とにかくこのMVからは気が急いている感じといいようのない不穏さは伝わる。それが青春の持て余した情動ってことだろう。
あらためて、永野芹佳って真っ白だ。
清純タイアド
「タイアド」ってなんだよって思ったら、英語の「tired」なのね。
おまえら、「清純フィロソフィー」はもう忘れたのか。
イントロの破裂するような重低音といい、打ち込み特有の機械的な音質といい、AKB48の楽曲にしては珍しく音に厚みがある。作曲したのは「今、Happy」と同じ人だと知って納得。打ち込み特有のポワンポワンした響きが心地いい。
MVはどうやって撮影したのかさっぱりわからない。
こういうパーティーソングなら大歓迎です。
まとめ
こうして見ると、やはりA面よりもカップリングのが個性的で魅力的な楽曲がそろっているように思う。ノリの良い曲では「清純タイアド」が優るし、ぱるるの卒業という意味では「Better」に勝てるはずもない。じゃあ「ハイテンション」ってどういう価値があるのっていったら、これは超選抜さまがいるって点しかないのでは? もちろん、世間にアピールするには超選抜に無難な曲を歌わせるのが一番なのかもしれないが……。
楽曲に話しを移すと、YouTubeで公開されている限りではバラード曲が少ない印象だが、劇場版に収録される「また、あなたのことを考えてた」はラブバラードなのでバランスは取れている。これはフレンチキスの「夜風の仕業」みたいな女性の心情を歌った久しぶりの曲な上に、各グループから歌の上手いメンバーを選んだだけあって、かなり聴きごたえがある。
ただなぁ、ちょっとだけ選抜メンバーに不満があって、15期生の飯野雅って公演を見ているとかなり歌が上手い気がするんだけど、なんでチームボーカルに選ばれてないんだろう。それから、茂木忍とか佐々木優香里とか大森美優とか岩立沙穂がどの曲にも選ばれてないってのはいかがなものか。ぱるるの卒業ソングをA面に持ってくればこの辺のメンバーのために一曲カップリングを入れることができたのに、と思う反面、卒業ソングは同期で歌うのが一番だし、商業的にも体裁を整える意味でもそんなことは不可能だということも理解できる。
総じてかなり満足。
運営スタッフのみなさん、あれやこれやと大変ですね。