ウーマンラッシュアワーのおかげでAKBINGO!が生まれ変わった
『AKBINGO!』を見ました。
見ましたっていうか、初回からずっと毎週欠かさず見てるわけです。
見てるからこそ、「全然おもしろくねえじゃねえか!」とこんな記事を書いた。
さて、7月19日の放送は、初代MCバッドボーイズが番組を卒業してちょうど4回目。
つまり一ヶ月経ったことになります。
ウーマンラッシュアワーが初登場したMC発表スペシャルを見てから思っていましたが、念のため数回放送をチェックしてからと様子見をしていました。
でも、もう大丈夫だろう。
新MCのウーマンラッシュアワーすばらしいぞ!
毛利無能なんて自虐してたけど、とんでもない。
よくぞこの二人をMCにキャスティングしてくれた。
これで『AKBINGO!』は生まれ変わったよ。
なぜAKBINGO!はおもしろくなったのか
上の過去記事の中で、ぼくは『AKBINGO!』をつまらないと思っているということ、そして、その理由として主に4つの要因が上げられることを述べた。
あらためて箇条書きにするとこうなる。
①MCの能力不足
②企画のマンネリ化
③稚拙な編集
④打てど響かぬメンバー
いまこうして見ると、以前の『AKBINGO!』ってなにからなにまでダメだったんだなと暗澹たる気持ちになるよ。
イジリ下手なMCが、コメントのできないメンバーとマンネリ化した企画をし、それをツギハギ編集で放送する。
これがおもしろいわけがないです。
ところが、生まれ変わった『AKBINGO』は違うぞ。
どこが違うって、あらゆるものが大違いだ。
1.ウーマンラッシュアワーという超有能MC
とってもおもしろいです。
どこがどうおもしろいのかといわれるとやはり素人なので困るんだけど、感心したのが、村本さんが二回目にして早くも谷口めぐとコンビ芸を作ったこと。
二人がにらみ合い芸をした瞬間、「そう、これこれ!」と思った。
こういう出演者同士がイチャイチャするやりとりを見たかったんだ。
『有吉AKB共和国』における、有吉&小嶋さんのやりとりや、有吉&市川美織のやりとり。あるいは、『乃木坂工事中』における、バナナマン&堀のやりとりや、バナナマン&生田のやりとり。
MCとメンバーが楽しそうにやりあうところをぼくは見たかったんです。
ところが、いままでおよそ8年間、番組内でこういったコンビ芸を見た記憶がさっぱりない。8年間あってできなかったことをたった二回でやってしまう。おまけに、中川パラダイスさんと中西智代梨とのコンビ芸も付け足してしまう。
ウーマンラッシュアワー、さすが売れっ子芸人。
すごいっすね。
今回は、役割分担もきっちりしている。
具体的には、企画の司会進行は主に中川パラダイスさんが、メンバーへのツッコミやイジリは村本さんという分け方だ。バッドボーイズの場合、佐田さんが多くの役割を担っていたため清人さんが置物と化していたが、ウーマンの二人は、中川パラダイスさんがメンバーに話題をフリ、メンバーのトークに村本さんがツッコむという具合。
二人がきちんと番組に関わっている感じがする。
村本さんのツッコミもちょうどいいバランスだ。
基本的にタメ口ではなく敬語を使っている。
怒声を上げてツッコむ際も、「~だろ!」や「~じゃねえか!」といった強い口調ではなく、「~ですよ!」と敬語。これは別のバラエティ番組でもそうなので、村本さんの癖というか戦略なんだろう。
おそらく、敬語を使って同期や先輩にマウントポジションをあえて取らせることで、毒舌やツッコミが強くなりすぎないようにしているんだと思う。
上の立場の人間が激しい毒舌をいうとイジメのようになってしまうが、下の立場の人間がいくら悪口をいっても、それは下の人間が妬んでいるようにしか見えない。早い話が、敬語を使うことで誰であろうと"後輩"という圧倒的弱者(それゆえに圧倒的強者)になれるということです。
この敬語作戦が、AKB相手にも効果を発揮している。
MCとひな壇はただでさえ上下関係があるというのに、MCを担当するのは芸歴の長いオジサンで、ひな壇に座っているのは若手のアイドル。つまり、はじめからここには覆しようがない上下関係が含まれていることになる。そこに強烈な言葉づかいで大声を上げるMCがいると、非常に高圧的に見えてしまう。
はっきりいえば、パワハラっぽくなる。
この点のバランスがバッドボーイズ佐田さんはちょっと下手だったということは、上のエントリに書きました。
村本さんの場合、敬語を使うことで仕切る側と仕切られる側という垣根が消えて、仲間感を演出することができていた。
込山榛香への対応はちょっとミスってしまった感もあるが、あれは受け身の下手なこみはるが悪いと思う。正統派アイドルが好きで、腹黒とかカバンが汚いネタでイジられたくないのもわかる。でも、あれだけおいしい展開になったのだから、本気で悲しそうな顔をするのではなく、谷口めぐのようにあからさまな怒り顔で対応するべきだ。
メンバーからも「こみ、顔!」と指摘されてた。
顔は大事。怒っていても、リアルに怒るのはダメ。視聴者が引いちゃうから。
込山、西野、谷口、高橋朱里というメンバーを主にイジったのも、選球眼がいい。
以前にも書いた通り、ぼくは谷口めぐは掘り下げるとなんかあるタイプだと思っていたし、込山は期待通りカバンが汚いし、西野はリアクションだけでなくトークも抜群で、高橋の実力は各種ラジオで証明済み。
この四人、特に谷口を使って盛りあげただけでもぼくは大満足です。
高橋朱里に
「外国人が目の前に来てパンツを降ろしたら、あなたはイヤーっていいながら隙間からがっつり見るタイプです!」といったときの口調としぐさ。
中西智代梨に
「あなたドコモのCMの鳥のキャラクターに似てる」といったときの、間隙を縫うようなタイミングの良さ。
早坂つむぎに
「生きる生が感じられない」といったときの、ワードセンス。
村本さん、これぞ芸人って感じでした。
2.新鮮味はないが安定した企画
『AKBINGO!』は企画も弱点のひとつだった。
今回のMC発表からこれまでの放送で行った企画は、大きく分けてSNS&私服私物チェックによる性格診断、フリートーク採点の2つ。
どれも斬新とはいいがたい使い古された企画だ。
私服チェックは「私服ファッションショー」で死ぬほどやってるし、フリートーク採点は『AKB48の今夜はお泊りッ』のメイン企画だった。
でも、今回よかったのは久しぶりにメンバーのフリートークを見れたこと。
というのも、ぼくが「ショージキ将棋」や「ムチャぶりドッヂボール」や「私服ファッションショー」の何が嫌いだったかって、いま思うと、全然ドライブ感がないところだったんですね。
わかりやすくいうと、フィーチャーされるのは企画の中心メンバーのみで、その他のひな壇メンバーはまさに"ひな壇"の言葉どおり、飾りになってしまうところ。たまにMCからひな壇にフリがあっても、それが盛り上がることがなく、すぐに企画に戻るところ。
つまり、台本そっちのけで盛りあがったりする様子、言いかえればハプニング的な要素が一切なかったところが嫌だった。
というのも、ぼくがアイドルのバラエティに求めているのは、メンバーが楽しそうにしている姿だからです。フリートークが盛り上がりすぎて企画そっちのけって、まさにアイドルがめちゃくちゃ楽しんでる瞬間でしょ。
アイドルが粛々と企画をこなすバラエティの、どこを楽しめばいいんだろうか。
じゃあ、「ショージキ将棋」や「ムチャぶりドッヂボール」がそんなにおもしろくて完成された企画かといえば、そうでもない。どれもこれも長年やったせいで手垢がついて、完全にマンネリ化していた。
暴露合戦であるはずの「ショージキ将棋」は誰もが知ってる生ぬるい質問を尋ね合うだけの質問大会になり、ムチャぶりに戸惑うメンバーを見るはずの「ムチャぶりドッヂボール」はゲテモノを見たメンバーのウソくさい叫び声を聴くだけの段取り芝居に様変わりし、私服のダサいメンバーを見て笑うはずの「私服ファッションショー」は、いつしかダサいメンバーがいなくなって企画じたいが成立しなくなっていた。
MCは企画の進行に精一杯、企画の中心メンバーは台本をこなすだけ、ひな壇のメンバーはわれ関せずとばかりに座っている。
こんな番組をどう楽しめっていうんだ。
そこで、MC交代後の『AKBINGO!』です。
これは本当に、素直におもしろかった。
なにがいいって、やはりドライブしてたところ。
トークのお題となったメンバーはもちろん、そこから派生してひな檀のメンバーにも話題が移っていたのがよかった。たとえば、岩立沙穂がフランス語で悪口をいう件の「ババア」や、中西が変顔でコンビ芸のオチをつけるやりとりなど。岩立はフランス語という特技を披露できたし、込山はやっぱり嫌われキャラでイジられた。中西にいたっては、トークと全く関係がないはずなのに顔芸という飛び道具で笑いをとった。
これぞ、ひな壇全員がトークに参加する理想のバラエティでしょう。
ウーマンラッシュアワーの役割分担がここで効いてきましたね。
中川パラダイスさんが進行を務めているおかげで村本さんは心置きなくメンバーをイジっていたし、イジられるメンバーもかつて見たことがないほど生き生きしていた。
谷口めぐが「バラエティーようやく楽しくなってきた」と、いまごろバラエティ番組のおもしろさに目覚めたのも当然だ。
だって、これまでは、企画の中心メンバーじゃなければ仕事のしようがなかったから。出番があるとしても、MCにコメントを求められて、ひとことふたこと喋って終わり。これじゃあ手応えなんてあるはずがない。それがいまでは、トークの中心じゃなくてもひな壇にいさえすれば、つまり番組に出演しさえすれば、なにかしらのチャンスがあるのだ。極端にいえば、他のメンバーのトークを聞いて楽しそうに笑っている姿がカメラに映るだけでも、仕事をしたといえる。なぜって、間接的に番組を盛りあげることにつながるからです。
いままでは、企画のメインメンバーの後ろで退屈そうな顔ばかりが並んでいたが、少なくともここまでの放送では、ひな壇の面々はおおむね笑顔だった。
これだけでも大きな進歩だ。
3.巧みな編集
編集もかなりよかったですよ。
いままでのっぺりしていたカットの切り方も、トークが盛り上がったからなのか、切れ味がいい。すぱっ、すぱっとトークが終わるので、間延びした感じがなかった。
そしてなにより、ぼくが大嫌いだった「この続きは番組の後半で」からの一発ギャグの件。
なんと、これまでのところないではないか。
それどころか、高橋朱里の性欲をイジる回ではVTRを流して笑いをとっていた。
おそらく撮れ高がいっぱいあったおかげだと思うが、なんにせよ、一発芸をCMやお知らせの後に流すのはマジでやめたほうがいい。
あれはまったくおもしろくないので。
テロップの使い方も上手くなってる気がする。
岩立沙穂がフランス語をしゃべった際の「確かに聞こえました」や、木崎ゆりあが突然関西弁をしゃべったときの「ちゃうねん」。
こうやって発言を粒立てることで、トークがおもしろく感じますね。
ぼくは『乃木坂ってどこ?』のテロップが神がかっていたと思っているんですが、今回の『AKBINGO!』も、それに勝るとも劣らない(本当はちょっと劣ってる)テロップだった。
以前に指摘した、ひな壇メンバーを突然アップで映すという行為もなかった。
厳密にはあったのだけれど、基本的にメンバーが笑顔だったのでまったく問題ない。
ぼくが嫌だったのは、とりあえずメンバー全員映さないととばかりに、死んだ目をしたメンバーのショットを混ぜること。そういうアリバイでメンバーを映したとして、誰も得しないからだ。
一方、今回のようにちゃんと笑顔を映せば、それは本気で楽しんでいる瞬間を切りとった、すばらしいショットになる。
映ったメンバーも笑顔なのでうれしい、見ているファンもうれしい。
Win-Winというやつです。
4.大活躍のメンバー
メンバーも以前とは大違いだ。
打てど響かぬなんていってしまったけど、きみたちは抑圧されていただけで、しかるべき人がいればちゃんとしたコメントができたんだね。
なにをおいても谷口めぐ。
2回目にして村本さんとのコンビ芸を作りあげたのはすごい。村本さんのフリにちゃんと感づいて対応したのも立派。あの顔芸は編集の区切りとなる強力な武器だ。
トーク部分でも、これだけのやりとりがあった。
大島「記憶にないですよ」
村本「政治家の言い訳か!」
横山「映画見てないやん!」
横山由依「ゴミじゃないんです」
村本「ゴミ屋敷のオッサンと同じこといってる」
込山榛香「そういうのしてくれる人がいい」
村本「お姫さま、AKBINGO!」
加藤玲奈「どっちも無理です」
村本「はい!」
村本「ホラー好きは性の好奇心が強い」
高橋「またかよ」
西野「あんたは沙穂をいじめるからダメよ!」
田野「レッスン中に場違いなやつがいるとうっせーよってなる」
村本「たとえば誰なんですか」
田野「西野!」
川本「家の壁に穴あけたこともあります」
村本「グレートティーチャー鬼塚やん!」
西野「熱唱しながらLINEはできないよ」
大和田「できるけど……」
西野「わたしはできない!!」
木崎「ジョンがカタカナで小太郎が名前」
小田えりな「消さない」
こうして書き起こしてるだけでうれしくなる。
まさかこういったかけあいを『AKBINGO!』で見れる日がくるとは――。
大和田南那のトークについて、村本さんが「こうやってみんなで盛り上がれるのがいいですよ」といっていたけど、本当にその通り。
出演者全員でワチャワチャやってるのが見たかったんですよ。
だいぶ前にあった、「あんまり呼ばれないメンバーが、自分が出演しやすい企画を考えよう」的な回のトークは本当にひどかったからね……。
メンバーのちょっとした言い間違いやガヤを、きちんとMCが拾って笑いにする。あるいは、メンバー同士のやりとりをMCが煽る。
やっとアイドルバラエティらしくなってきた。
まとめ
正直にいえば、ぼくはこれまで半ば義務として番組を見ていた。もちろん、たまに神回はあったけれど、総じてつまらないなと思いながら、あまり本気で見てはいなかったように思う。
でも、これからは違う。
『AKBINGO!』が週に一度の楽しみになりそうだ。
バッドボーイズが卒業してもどうせつまんないままだろ、と思っていたけど、それは間違っていました。
ごめんなさい。
MCが変わっただけで(ひょっとするとスタッフも変わったのかもしれないけど)、番組のおもしろさもメンバーの様子もこれほど変わるとは予想もできなかった。
本当に大満足です。
頼むから、この調子で進んでくれ。